俺様幼馴染は素直になれない!
「相波さん、何やってんの?」
上杉くんは目を丸くして、私を見ていた。
「いや、あの…」
私は返事に困っていると、上杉くんは声を発した。
「あはは。やっぱり、相波さんはいいわ。面白い。行こう」
上杉くんは目尻に皺が出来るほど、笑って、また私の手を掴んできた。
上杉くんの手は温かくて、私を包むかのように握る手に胸のドキドキが止まらない。
うー、こんなことされたら、誰でもドキドキしちゃうよ。
私は上杉くんに引き寄せられながら、ついていった。
それから、上杉くんは町中を歩きながらも、ここは何がおススメなんだよとお話をしながら、歩いた。
最初私は断ったが、上杉くんにいいからって言われて、断れ切れなく私の自宅周辺まで送ってもらった。手を繋いだまま。
どういう意味で手を繋いでるんだろう、上杉くんは。
私が道に迷わないため?
「…上杉くん。送っくれてありがとう。ここまででいいから。あのさ、手、なんの意味で繋いでる?」
私は疑問に思ったことを口にした。
「いや、送っていくよ。いえいえ。意味?意味なんてないよ。ただ繋ぎたいと思ったから。」
上杉くんは手を繋ぐことを気にしていないようで、平然と私に言う。
上杉くんにとっては、手を繋ぐ行為は友達だから?
それとも、ただ単に繋いでいるだけ?
「いや、でも申し訳ないし。じゃあ、繋ぎたいって思ったら、誰とでも繋ぐの?」
私は繋いでいる手を見つめながら、上杉くんに聞く。
「違うよ。相波さんだから送りたいし、手を繋ぎたいから」
上杉くんの後ろにいた私を真っ直ぐに見つめて、真剣な物差しで言ってきた。