俺様幼馴染は素直になれない!
「私だから…ってなんで?」
私はまた上杉くんに聞く。
上杉くんの返答なんてわかってるつもりだ。
だけど、聞かないと私は上杉くんとどう接したらいいかわからない。
初めての男友達で、好きなものが一緒で気が合って、同級生。
共通点が一緒なことが多い。
でも……それでも…私は……
「……相波さんが想像する通りだよ。相波さんが思っていることが正解。僕は僕で攻めるから覚悟してね。あ、じゃあ家まで送るよ」
上杉くんはそう言ってから、手を繋いだまま私の家まで送り届けてくれた。
そして、上杉くんは私の家に着くと、手を離して、私の耳元に近づいて、囁いた。
「相波さん、さようなら」
囁いた瞬間、上杉くんは私の頭を右手で置いて撫でた。
「またねー」
私の頭を撫でてから両手を振って、ニコッと微笑んでまた私に言う。
それにつられて、上杉くんに手を振った。
見えなくなるまで……
「……うー」
上杉くんが見えなくなったら私は自分の耳を持って、上杉くんの言動を思い出して、声を発した。
上杉くんは初めてできた男友達。
彼とは、どうなりたいかなんて決まってる。
友達だ。
だから、からかってるだけだ。
そう私は思っていたが、現実は違った。