俺様幼馴染は素直になれない!

放課後

私は自分の教室で、今日使った教科書などをロッカーに入れた。

「結愛。瑠翔先輩。呼んでる」

智子は私に声をかけてきた。
瑠翔が教室に来て、私を呼んでいた。

「…あー、うん。」

私は返事をして、瑠翔の元へ行く。

「…お前さっき、朝、上杉と何話してた?」

瑠翔は面白くなさそうに私を見て、聞いてきた。

「朝?普通に話していただけだけど」

私は瑠翔に返答した。

だが、瑠翔はなにか納得していない様子だった。

「……お前俺のニセ彼女ってことわかってんだろうな」

瑠翔は何故か怒っているようで、私の顔を近づけて聞いてきた。

私は周りに誰もいなかった。
智子もさっきに帰っていたようだ。

「…いや、うん」

私は返事をした。

「ニセ彼女の掟。なんだっけ?お前、守ってるか」

私の顔を見て、怒り口調で声を発した。

「…手繋ぎ、キスはまだだけど…」

私は瑠翔から目線を外して、恥ずかしながらも言う。

「まだ繋いでないし、キスもしてないだろ。
それでよく守られたっていうな」

ハッと鼻で笑い、私に上から目線で言う。

「……だけど、途中まで一緒に帰ったりしたから」

私はポツリポツリと言葉を発した。

「……っ、なんだよ。お前は俺の彼女だろ。ちゃんと守んないからお仕置きだ」

瑠翔は左手で私の顎を掴み、私の右手を握りしめてキスをしてきた。

「……っ。な」

私は真っ赤な顔を手で触る。

「これで手繋いだし、キスも完了。掟忘れんなよ。あと、お前放課後バトル見にこいよ」

瑠翔はそう言って、私の顔から離れて去っていた。

なんで瑠翔は私に手繋ぎとキスなんて…

自分の唇を手に当てて、さっきの情景が目に浮かぶ。

うわー、うーん。
私は一人ため息をついた。

瑠翔は私がニセ彼女で掟を守っていなかったから、強引にキスを…

それしか考えられない。

だからって、私のファーストキス奪うなんて…

また、頭の中で瑠翔を思い出して、恥ずかしがった。

教室には誰もいなく、私だけが残っていた。

一人で考え込んでから、バトルが行われる教室に向かった。
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