俺様幼馴染は素直になれない!
「なんで」
瑠翔は目を丸くして、一樹を見る。
「わかんだよ。瑠翔の傾向把握済み。お前の家行っていい?」
一樹はため息をつきながら、俺の目を見た。
「いや、屋上行ってもいいか?」
俺は腰に手をつけて、一樹に答える。
「いいけど。誰かに見つかるんじゃないの」
一樹は心配そうに聞いてくる。
「いや、この時間なら大丈夫だ。行こう」
俺はズボンのポケットの中にあった携帯を取り出して、時間を見た。
「…いいけど」
一樹は俺を見てから俺の顔に近づいて、言う。
「離れろよ。顔、近い。なんだよ」
俺は少し下を向いて一樹に言うと、一樹は目を逸らさずに俺を見てきた。
「いや、なんでもない。行こう」
一樹はニコッと笑いながら、俺の手を引いて、前を歩いた。
一樹は俺の心を読んで、なにも言わない。
案外、一樹と性格は正反対だが、なぜか馬が合う。
「おい、勝手に引っ張んな」
「引っ張んないと行かないだろ」
「自分で歩ける」
グダグダとくだらない話をしながら、屋上へ向かった。