俺様幼馴染は素直になれない!

「違うよ。相波さんと僕は行きたいの!相波さんじゃないと…。本気だから」

上杉くんは真剣な目で私を見て、私に近づいてきた。

近くにあった柱に私は寄りかかり、上杉くんは柱に手をついて、私の顔の目の前に上杉くんの顔があり、低い声で言ってきた。

え? 上杉くん?

私は心の中で呼ぶ。

目を見開いて、上杉くんを見る。
その目はいつもの見る上杉くんではない。

男らしくも目が輝いていた。

本当に私を誘ってるの?
上杉くんとは知り合ったばかりなのに、なんで私なのか疑問に思った。

「………」

私は驚きのあまり、上杉くんを見てから下に向いた。

「あ、いや、ゴメン。困らせるつもりじゃなかったんだ。ただ、相波さんと一緒に出かけたいのはほんと。対決の時に言えなかったけど、デートしませんか?僕と」

上杉くんは私の右手をそっと優しく握りしめてから、私の目を見つめてきた。

「……私で良ければ。はい」

私は素直に言われると、反論できない。

好意を寄せられている人に言われたら、好きという感情より嬉しさが増す。

返事をしたとき、瑠翔の顔が思い浮かんだ。

瑠翔は苦笑いを浮かべて、私のことなんて見ていない。

逆に笑っているんだろう。

「…ありがとう。嬉しい。じゃあ、詳細はあとで。午後も頑張ろうね」

上杉くんは本当に嬉しそうに言った。

「う、うん」

私は返事をして、なんともなかったように自分の教室へ戻った。

その頃、瑠翔は。

一樹とお昼時間を過ごしていた。

「なあ、あれ結愛ちゃんじゃない?」

俺たちは3階にいたので、教室の窓から見える下にある2階を見下ろしていた。

「ああ」

俺は返事をして、ストローを口にくわえて、リンゴジュースを飲んでいた。

「あれって、上杉くんだよね」
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