俺様幼馴染は素直になれない!
「………さあ?」
一樹は知らないふりを知っていたが、俺はそんな一樹の返答に怪しんだ。
「一樹……なんか知ってるな」
「知らないから」
「隠しきれてないんだよ。なんかある時は黙るくせあるだろ」
俺は一樹を追い詰めるかのように聞く。
一樹は終始黙ったままだったが、俺が繰り返し聞いた。
「…わかったよ。言うから」
すると、一樹はため息をついて、俺に観念したのか声を発した。
「なんだよ、早く言えよ」
俺は一樹に急かすように聞く。
一樹はまたため息をついて、声を発した。
「……結愛ちゃん。今日、上杉くんって子とデートだって」
一樹はなぜか申し訳なさそうに俺に言ってきた。
「はあ?なんで」
俺は顔ゆがませて、電話越しの一樹に言う。
「なんでって。腕相撲対決で上杉くんが勝ったでしょ。勝ったら、結愛ちゃんとデートするってなったらしいって聞いたけど」
一樹は俺の言葉にため息をついて、他人事のように返事をしてきた。
「……そういえば…」
俺は腕相撲の対決の状況を思い浮かべた。
そんなこと言ったわ、そういえば。
結愛とデートできないってわかった瞬間、もうダメだと思って、絶望にいた。
また、上杉が結愛を狙っていることを知って、どうしようと頭の中が混乱していた。
結愛が上杉とのデートをするということまで頭になかった。
「…だから、今日結愛ちゃんは上杉くんとデートだから、お洒落して行ったんじゃない」
一樹は俺が聞きたくない言葉を言って聞いてた俺は、はっと現実に戻される。