俺様幼馴染は素直になれない!
結愛を取られたくない。取られたら、俺の想いはどうなるんだ。
隠されたこの気持ちはどうなるんだ……
俺は結愛が小さい頃から現在の情景を頭の中に浮かべていた。
小さい時から笑う姿も、幼い頃から凛とした表情でたまに大人っぽい姿だったり…
俺が何気ないことを言って、照れた表情も…
その時の言葉は、好きとか誤魔化して言ってみた時だ。
部活動で疲れている時もげんなりしている時も…
何か落ち込んでいる時も……
俺は結愛の傍で見てきた。
どんな姿を見ても、愛おしくなった。
今の関係でいいと思っていた。
たとえ、結愛の近くにいたとしても、特別な関係になりたいけどなれない。
もどかしさが前まであった。
だけど、今はそんなこと言ってられない。
「…行ってくる」
俺は立ち上がり、一樹に言った。
「行ってらっしゃい。ちゃんと言うんだぞ」
一樹はニンマリと微笑んで、俺に手を振っていた。
「ああ」
俺は返事をして、駆け足で結愛の所へ走り出した。
母はいきなり走り出した俺を見て、どうしたの?と聞いていたが、そんなのお構いなしだ。
後々、分かったことだが、一樹が母に好きな人の元へいくと一言伝えたらしい。
俺が知らない間でそんな会話をしていたが、俺は結愛に会うことで頭がいっぱいだった。
結愛、結愛、結愛。
ちゃんと伝えなくてはいけない。
俺は足を止めずに走って走った。