俺様幼馴染は素直になれない!
「瑠翔」
私は彼を呼んだ。
すると、瑠翔は携帯を弄っていたのを、私の声に反応して顔を上げた。
「…買えたか」
瑠翔はズボンのポケットに携帯を入れて、私を見た。
「買った。じゃあ帰ろうか」
私は返事をして、瑠翔は黙って、私の両手にはエコバッグ二つを持っていた。
「……」
瑠翔は私を見て黙ったまま、私が持っていたバッグ一つを私の手で少し触れてから瑠翔はバッグ一つを持った。
「あ、ありがとう」
私は目を逸らして、瑠翔に返事をした。
周りは家族連れやら、一人でいる人もいた。
何かに笑いながらも楽しそうに会話をしている人。
少し切なそうな表情をして町中を歩いている人。
腕を組んで何かを考えている人。
誰かに笑いかけて幸せそうにしている人がいた。
私たちはどんな風に見えているのだろう。
「お、おう」
瑠翔は照れながら、頭を手に当てて声を発していた。
私が考えていることなんて、瑠翔は思っていないだろう。
だけど、瑠翔は私に対しての気持ちは分かっている。
それだけで私は嬉しくなる。
心の中で微笑んだ。
嬉しいのもつかの間、私たちはやりとりをした後、お互い何故か距離を取って歩いていた。
私は瑠翔の後ろに。瑠翔は私の前にいた。
お互い好きってことがわかってから、ギクシャクが続いている。
どうしたら…
だけど、それには私が瑠翔に感じていることを話す方がいいのではないかと考えていた時だった。
すると、もう私の自宅に到着しようとした時、瑠翔は私に声を発した。
「…あのさ、結愛……俺……」
瑠翔は下を向いたり、上を見上げたりして、私を見ていた。
なんだろう。
瑠翔、どうしたんだろうと思ったが、私は私で瑠翔に言いたいことがあった。
「…瑠翔…ほんとに私のこと好きなの?それは偽彼女だから」
瑠翔は何か言おうとしていたが私は声を遮り、瑠翔の真正面に向かって聞いた。
聞かないと、このままでははっきりしない気がしたからだ。
先ほどまで人はまばらと人はいたが、今はなんでか周りにはそんな人もいなくて、昼間だっていうのに誰も通っている人はいなかった。
今日は、昼間から雨が降ると天気予報士が明るいトーンで言っていたのを昨日のテレビで耳で聞いて覚えていた。
天気が悪くなるから、人がいないのだろう。