俺様幼馴染は素直になれない!

 一樹はズボンの中に入っていた携帯を取り出して、何かを検索してみていた。

「…だったら、他の話をすればいいだろ」

 俺は悲しそうな表情を浮かべている一樹を横目で見て、声を発した。

「そう思って…僕色々話したけど…智子ちゃんは全然聞き耳持たないから、僕なんかって…」

 一樹は俺に携帯画面を見せて、これ見てみろよと言い、俺に渡してくる。

 これは……結愛の友達の智子。

「…これ」

 俺は一樹に見せられた携帯を見ると、智子のSNSと思われるのを俺に見せてきた。

「それを見たら分かるだろ。智子ちゃんは今は恋愛に興味がないんだよ。今は部活と勉強で手一杯って。この文面を見て、僕は智子ちゃんにアプローチする意味もないんだよ」

一樹は携帯を持ちながら、画面を見続けて、俺に伝えてきた。

「…意味なんかなくてもいいんだよ。俺はどんなことがあっても、必ず隣にいた。それだけでいいと思うぞ」

 俺なりに結愛を想う気持ちを一樹に伝えた。

 すると、一樹は笑っていた。

「アハハアハハ。瑠翔はほんと面白いな。俺様で不器用男子が僕に言うなんてね。まぁ、瑠翔ほど性格折れ曲がってないけどね。そうだね。僕は僕なりに智子ちゃんにアプローチするよ。じゃあ、瑠翔。あとでな。僕は智子ちゃんに出来ることしてみるよ」

 一樹は携帯をズボンのポケットの中に入れて、立ち上がり、俺を見て笑って帰っていた。

 「…ああ」

俺は返事をした。

一樹は俺に言いたいことを言って帰ると、俺の部屋を静かになっていた。

アプローチ。
俺なりに結愛にアプローチをした。

今までの葛藤がやっと叶う形になったのは、俺は結愛に対する思いを小さい頃から募らせていたからだ。

 そう、あの時だ。
 
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