俺様幼馴染は素直になれない!

        *

そう……あの時から。

ほんとに小さい時の俺たちの話。

「この子、相羽結愛ちゃん。んで、この子が永瀬瑠翔。よろしくお願いね。この子、人見知りだから…ほんとね」

 永瀬瑠翔の母は瑠翔の隣にいて、瑠翔の頭を母は手に取り、結愛の母と結愛に頭を下げていた。

「いえいえ。この子も人見知りのところありますからね。こちらこそ、よろしくお願いいたします」

 結愛の母は結愛の背中を手に置いて、頭を下げるように促した。

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

 瑠翔の母は、笑顔で結愛の母に言って、何か困ったことがあったら頼ってくださいねと優しく、結愛母たちに伝えていた。

 結愛の母は、お礼を言って、隣の家に帰っていた。

 元々結愛は地元民ではなく、父親の転勤でここに引っ越してきたのだ。

 その時は不安そうに母の後ろにいて、初めて結愛を見たときは、なんだこいつとしか思わなかった。

だけど、その数日して、瑠翔と結愛は結愛の家で過ごすことになった。

理由は、瑠翔の家が両親の急な用事ができて、瑠翔が一人になるので、結愛の家に世話になることになったのだ。

 瑠翔は不貞腐れていて、ずっと黙っていたのだ。

「瑠翔君。なにか食べたいものある?」

 結愛母は楽しそうに瑠翔に聞いてきた。

 瑠翔は黙ったまま、ソファーに座っていた。

「じゃあ、瑠翔くんが好きなカレーにするよ」

結愛の母はお玉を右手で持って、瑠翔の顔を伺うように声を発した。

すると、瑠翔は結愛の母から目を逸らして、嬉しそうにはい、お願いしますと小さな声で発した。

結愛は瑠翔の隣に座っていた。

「それじゃあ、カレーにするよ」

 結愛の母は嬉しそうにして、作り始めた。

 結愛は笑っていた。
 
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