俺様幼馴染は素直になれない!
「…楽しいけど、みんな大変そうなのに、俺だけ…」
瑠翔はしょぼんとした表情で、結愛に言う。
それは、両親が用事があって不在だからだ。
瑠翔の両親は共働き。
だけど、月に1回あるかどうか分からないくらい、親と食事するのは滅多にない。
瑠翔だけこんな思いしていいのか家族の思いが強いほど、不安になったのだろう。
「いいんだよ。瑠翔くんが楽しくしないと誰が楽しくするの」
何かを察した結愛は、目を細めて瑠翔に優しい声で発する。
それからと言うものの、瑠翔は暇さえあれば、結愛の家に遊びに行った。
結愛も何かあれば、瑠翔家に行くようになった。
二人で遊ぶことが増えて、瑠翔は結愛を意識するようになる。
そのきっかけは些細なことだった。
「結愛ちゃん。ここで遊んでいいから、遠慮せず。火の元には注意してね、結愛ちゃんも夕飯食べていてね」
瑠翔の母は仕事に出掛けるため、夕食を作り終えたら、身支度を整えて結愛に早口で言ってドアを閉めて出て行った。
それは、結愛が瑠翔の家で遊んでいる時だった。