俺様幼馴染は素直になれない!

瑠翔の母が仕事に行くので、留守番していてほしいということだ。

結愛の母も今日は用事があるので、家にいない。

お互いの父親同士も母親と同じ理由でいないので、つまり、瑠翔家で二人っきりということだ。

瑠翔の母が仕事に行った後、私たちは瑠翔の母が用意した夕食の準備をした。

夕食はカレーで、瑠翔の母が温めてくれたので、お皿に盛る。

二人分盛ったあと、瑠翔は黙っていた。

結愛は、頂きますと言うと、瑠翔はそれを見て声を出していた。

二人は食べると、ソファーに座り、テレビをつけた。

テレビを見ていると、話題は親しくなった人には名前で呼ぶかということだった。

 それを見た瑠翔は、少し下を向いてから私の方を見て、彼は声を発した。

「あのさ、今やってるテレビのように名前で呼んでもいいか?」

何を言うかと思えば、今テレビでやっていることを話題にしてきた。

それは、他の友達を名前で呼ぶのは、好意の表れと言っていたのだ。

結愛は目を丸くして、瑠翔を見ていた。

「テレビ?今見ているやつ?うん、いいよ。私も名前で呼ぶね」

結愛はくんなしで瑠翔は呼び捨てにした。

「うん」

瑠翔は嬉しそうに結愛が見えない所で微笑み、返事をした。

「瑠翔」

結衣は瑠翔を見て、首を右に向けて、名前を呼んだ。

「…う、うん」

瑠翔は結愛を見つめて、真っ赤な顔で返事をした。

ただ女の子に名前を呼ばれただけなのに、その時の瑠翔は顔を赤くしながら、呆然としていたのだ。

それからというもの、名前を呼ばれて以来、なぜか結愛を意識するようになった。

結愛が初恋で好きになっても、また好きが増えていた。

好きが増えていくのは時間はかからなかった。

例えば、結愛が小学校の時。

クラスで一人で座っていて、次の授業の準備をしている時、誰かが鉛筆を落としたのだ。

それを見た結愛は迷わず拾い、一目散に持ち主に渡しに行っていた。

持ち主は、なんでわかったの?と結愛に聞くと、いつも持ってたから、大事なものだと思ったからと。

その姿にキュンと…

人の大切なものをちゃんと配慮して、優しい声で言っていた。

俺は、また的に打ったれた気分だった。
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