俺様幼馴染は素直になれない!
「あ、ありがとう」
私は返事をした。
「…い、行くぞ」
瑠翔は照れながら、私の右手を掴んで早足で歩き始めた。
「…待って…瑠翔」
私は足が遅いので、早足で行く瑠翔についていけなかった。
「…あ、悪い。早すぎたな」
瑠翔は私の後ろを振り返り、私の手を放して隣を歩き始めた。
「…私が足遅いの…知ってたの?」
私は目を丸くして、瑠翔を見る。
「…知ってたもなにも小さい頃から知ってるよ。お前の言動なんて見てれば分かるから…」
瑠翔は私の目を逸らさずに 真っ直ぐに私の黒目を見据えるように見ていた。
「……な、なに」
私は見つめてくる瑠翔に距離を少し置き、聞いた。
「…別に。なんでもない」
瑠翔は私から目線を逸らして、そっぽを向いていた。
「………」
私たちはそれから何も話さないまま、遊園地に向かった。
そして遊園地に行くために、バスに乗った。
私が最初に乗り込むと、瑠翔は私の隣に来て座り込んだ。
瑠翔は私の隣に座り込んだまま、黙っていた。
私はどうしたらいいか分からずに、バスの中から景色を眺めていた。
すると、瑠翔はボソッと私に呟いた。
「……可愛すぎだから」
私を見ていた瑠翔は照れた表情をしているのか顔を手で隠していた。
「…え?なんか言った」
私は瑠翔に聞いた。
「……いや、なんにも」
瑠翔はどこかを見つめていた。
私はそんな姿に少し心配になった。