俺様幼馴染は素直になれない!
「……瑠翔。私の為なら無理にしなくていいよ」
私は下を向いて、瑠翔に声を発した。
「いや、別に無理してない…」
瑠翔は私の目を見て、悲しげな声で言う。
「…無理してるでしょ。嫌いな遊園地行くことないんだよ。私が遊園地好きだからって、瑠翔が楽しくなければ…意味ないよ」
いつもの私なら瑠翔には反発しなかった。
瑠翔が冷や汗をかいてるし、分かってるんだよ。
小さい頃のこと、私覚えてるよ。
瑠翔は気絶していたけど…ね。
瑠翔は遊園地に行くと、いつも冷や汗をかいていたんだ。
遊園地が苦手なのは、理由が分からないらしい。
けど、乗り物系を見ると、なぜか怖くなるって瑠翔のお母さんがコッソリ教えてくれた。
「…知ってたのか。俺は……結愛が好きなものを共有したい…って…。上杉は結愛とデートしたのも悔しかったし…結愛が楽しいことしているところを見たいなって…」
瑠翔は私に思いがけないことを言ってきた。
不器用でうまく伝えられない瑠翔が私のことを想ってくれている。
上杉くんとデートしたこと、そんな風に考えてくれたとは知らなかった。
たけど、瑠翔に苦しい思いをして欲しくないと思いつつも、私は瑠翔と一緒に乗り物を乗りたいという思いが強くなり、私は思い切って彼に言った。
申し訳ないと思いながらも…
「…瑠翔…。じゃあ、いいの?思い切って、乗っても…」
私は嬉しそうに上目遣いで瑠翔に聞く。
「…うん、いいよ」
瑠翔は目を細めて、返事をした。