Lの色彩
「なんで、なんで童話症候群のこと知ってるんですか誰も知らないはずなのにっ……!」
「お、落ち着いて、すみません」
「だったら!」
「いう通り俺は初期の童話症候群なので」
冷静なようで自分が一番高揚している。
満が奇病患者だったことを内心、色人は喜んでいた。
不謹慎だとわかっていても、同胞を病院の外で見つけるなんて確率は天文学的数字になるだろう。
一周まわって色人は落ち着いていた。
自分は世界から外された、失敗作で、人間に混ざっているだけのヒトモドキにすぎないのだ、と。色人の症状はそれだった。
瀬戸口医師の言う数多の薬の中にはこの童話症候群の緩和剤も入っているが患者の意志でそれを服用し続けるのは難しいことでもある。
簡単に言えば童話症候群患者は悲観主義者だからだ。
そんな人間が前向きに、かつ自発的に服用を続けるのは難しい。
これに関しては満も同じで薬を飲むのに前向きではない。