双生モラトリアム
「な……っなんで……ッ……」
今度は、唇に噛みつかれた。
首ほどではなく軽く、だけど。それでも痛みが走って顔が歪む。
「い、樹……やめッ……」
今度は噛みつくようなキスで、唇を食べるように甘噛みをされた。何度も、何度も。深くなるキスと肌を這う手に、体のなかに熱が灯る。
ダメだ、と思うのに。5年以上散々弄ばれ快楽を刻まれた身体は、憎らしいほど樹の導きで教え込まれた反応を返してしまう。
まして、この半月近く毎日毎日何度も気を失うくらい彼に抱かれてきた。
非力な私が、樹に用意された籠の中でどう抵抗できるんだろう。
樹はキッチンの床で私を何度も抱いて気を失わせた後、またベッドルームに連れ込んで夜明けまで続けて散々弄ばれた。
ぼんやり覚醒しても、樹に激しく揺さぶられ続けて。また気絶するように眠り……まるで獣のように食い尽くされて。何日経ったんだろう。
樹は昼間は仕事に出て、夜に帰ると私を明け方まで抱いて少し仮眠を取りまた出勤する……という生活パターンを何日間も繰り返してた。
何が、樹をそこまで駆り立てるんだろう?
いくら抗っても泣いても、樹は決して手加減してくれないし、許してくれない。
必死に逃げようとしても、樹はいつも先回りして可能性を易々と潰し絶望させてくる。まるで、逆らうだけ無駄だとでも言うように。
段々と抵抗する気力が奪われていくのを感じる。
それでも、舞を裏切っちゃダメだ……という気力を支えに、どうにか反抗心を保っていた。