双生モラトリアム

「そう……だよ。私は知った時に……家族から抜ければよかったんだ。施設にでも行っていればよかった!でなければ……家族を壊すことも……なくて」

思い出せ、流されるな。
立花先生がどれだけ優しくても、私はこの人のそばにはいられないと。
どれだけ自分が身勝手で、自分に甘く醜い愚かな人間なのか。この人に解らせなくては。

幼年期の綺麗な思い出はーーせめて、綺麗なままでいたい。
自分のエゴで、この人までも傷つけ不幸にしてしまう前に。

「私は、醜いの。容姿だけじゃない……本当は舞なんて、大嫌いなの。なんで、あの子にはなんでもあって……私には何もないの……って、いつもいつも羨んで妬んでた。家族でいたのだって……ひとつの嫌がらせ。小学生から私を嫌いだした舞への小さな復讐……舞が嫌がる度に、ザマーミロって思ってた。
お母さんにも……わざと家族でいてやる!って意地でいたの。私からお父さんを奪った彼女が憎かった……
樹とセフレになって……心の中で舞を見下すのが気持ち良かった……セックスしてる最中だって……舞を浮かべるだけで快感は増した。ざまあ!ってね……仮にも妹の婚約者を寝取って……最中は罪悪感なんて微塵も感じない。狂った私しかいなかった!!」

もう、ありったけの想いを吐露した。お願いだから、私から離れてほしくて。

あの、無邪気だった少女はもう居ないのだと。

「私は、あなたの兄に5年半散々抱かれてきた。好きだったから受け入れた……身も心も穢れきった、醜い私を……それでもあなたは受け入れられるの?」

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