御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない


ブランドの中でも、相当なハイブランドだ。このオレンジ色もアルファベッド一文字のロゴも、いくらブランドに興味のない私でも知っていた。それほどに有名なものだ。

驚いてただ混乱している私が持っている袋の中から、東堂さんが箱を取り出す。
紙袋と同じくオレンジ色の平たい箱を開けると、中にあるのはブレスレットだった。

それを取り出しながら、東堂さんが言う。

「たまたま店に立ち寄ったとき、目に留まったんだ。普段なら、ひなたは性格からして受け取ってくれなそうだけど、土産ならいいかと思って」

東堂さんが箱から取り出したブレスレットは、キャメルブラウンの皮のコードが二重になっているデザインだった。留め具の部分だけ金属でできていて、片方がフック、もう片方が雫のような形をしている。

ブレスレットの両端についている金具は柔らかい色合いのゴールドで、上品でとても綺麗だった。

こういったハイブランドのアクセサリーやバッグには疎いため、相場がわからない。けれど、数万では済まない気がして、簡単にはお礼が言えない。

そんな気持ちが顔に出ていたのか、東堂さんは私を見て困ったような笑みをこぼした。
そして、私の左手をとってブレスレットをあてる。

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