御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない


「あまりジャラジャラうるさいのはどうかと思ったけど、これはひなたのイメージにあったから。左手にしてるとお守り代わりになるって言うし、ブレスレットをプレゼントする意味とか聞いていたらその気になって、いつの間にか手に取ってた。……ああ、もちろんこれはひなたにだけだけどな」

私の左手にはまったブレスレットを見て、東堂さんがふっと笑みを浮かべる。

「まぁ、お守りなんていうのはただのジンクスでしかないだろうけど、一緒にいられる時間も限られるしいいかと思ったから。会えない時も、ひなたがこれを持っていてくれてるって考えると嬉しいとも思った。だからほぼ俺のためかもな」

目を合わせ「もらってくれるか?」と目を細められたら……私に首を横に振ることなんてできなかった。

「東堂さんのためだなんて言われたら、断れません。……あの、ありがとうございます。大事にします」

高価な物だからじゃない。東堂さんにもらった物だから。東堂さんが私のことを思って手にしてくれた物だから、大切にしたいと思った。

金額は気になるけれど、東堂さんからのプレゼントは純粋に嬉しいので顔がにやけてしまう。
じわじわと胸の奥から滲んできた嬉しさが次第に顔に出るほど溢れ、口角が上がるのが止められない。

「ブレスレットなんてこんな大人っぽいプレゼント初めてで、ドキドキしま……」

ブレスレットに落としていた視線を上げた瞬間、いつの間にか近づいていた東堂さんにキスされる。
驚きながらもなんとか目を閉じて、数秒経った後、東堂さんが離れた。

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