御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない
Step.2
私が勤めるのは、オフィス用のコーヒーサーバーのレンタル会社。新幹線も乗り入れる駅から徒歩十分のオフィス街にある、六階建ての建物がそうだ。
社員は三百人ちょっと。ウォーターサーバーとコーヒーサーバーを主に取り扱っていて、営業先はオフィスや病院、飲食店など様々だ。
私自身は入社して研修を終えたあとすぐに受付に配属され、二年が経とうとしている。
日々の業務は来客の対応、代表電話、メール対応、会議室の予約管理、それにカタログなどの資料の管理といった庶務の仕事も少しだけある。
細々とした仕事が多く電話も多いけれど、そのぶん来客数は少ないので、先輩とふたりでもなんとか回せている。
白のノーカラージャケットに黒い膝丈スカートという制服に、首元にはスカーフを巻くのが決まりとなっていて、スカーフは水色系と紫系、二種類。私は一日ごとに色を変えている。
始業時間は八時半で、電話、来客対応は九時から。
いつも通り八時十五分に一階受付に行くと、そこには席についている君島先輩と、営業部で同期の渡さんの姿があった。
営業部ホープと社内で噂の渡さんは、君島先輩の向かいに立ち、受付カウンターに両肘を乗せ凭れていた。
うちの会社のロビーはそこまで広くない。二十畳ちょっとのスペースにお客様用の数人掛けのソファがふたつと、観葉植物、それに受付カウンターがあるだけのシンプルな造りになっている。
パンフレット関係は、受付カウンター横のラックに種類ごとに入っていて、その補充も受付の仕事のうちだ。