御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない


「告白されたって気付いてるか?」
「え……」

告白と言われ、さっきまでのことを思い出してみる。

『俺、アンタより先に春野の魅力に気付いてましたから。可愛いとも思ってるし、性格だってちょっと心配になるくらい純粋で一緒にいて癒されるし、なにより俺が守ってやりたいって気持ちにさせられる』

もしかしたら、あれが告白だった……?
まさか渡さんが私に想いを寄せてくれているなんて想像もしていなかっただけに、すぐには受け入れられず、頭が混乱していた。

「熱烈な友人宣言かと思ってました……」

そう呟いた私に、東堂さんはやや驚いた顔をしたあとで、苦笑いをこぼした。

「まぁ、ひなたにしっかり男として見られるよう動いてないあいつが悪いな。たぶん、ひなたが男に不信感持ってることとか配慮して今まで距離計ってたんだろうし、そう考えると悪いやつではなさそうだけど」
「いい人です。いい人ですけど……どうしよう」

今後、どんな顔をして会えばいいのかに迷い考え込む。

あれが本当に告白だったのなら、きちんと返事をしないと失礼だ。
でも返事を求められたわけでもないのにお断りするのは、そっちの方が失礼だろうか。

初めて直面する事態に、どう立ち振る舞えばいいのかがわからずただ困り果てていると、突然肩を抱き寄せられる。

視界に真面目な顔をした東堂さんが映ったと思った瞬間には唇を塞がれていた。


< 130 / 184 >

この作品をシェア

pagetop