御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない
「ん……っ」
この間初めてしたキスよりも強引に入り込んできた舌に肩が跳ねる。びっくりして自然と逃げそうになった体を東堂さんの腕が止めた。
私の咥内を執拗に撫でる舌先に次第に口元に力が入らなくなり、だらしなく開いた頃、東堂さんがやっと離れる。
「ひなたとあいつの問題に口出すつもりはない。でも、ひなたをあいつに渡すつもりもない」
至近距離から告げられた言葉に胸が跳ねる。
真剣な眼差しには熱がこもっていて、見つめられているだけで体の内側からじわじわと溶け出しそうなほどだった。
私の頬を大きな手で撫でた東堂さんが、その手を下へと滑らせる。
耳に触れ、首筋を撫でるように落ちていった手が、鎖骨を通り首元から服の下に入り込む。
そのまま肩の丸みを撫でた指に心臓がどうにかなりそうで、焦りながらも「あ、あの……」と声を出した私に東堂さんが再度近づく。
そして、鎖骨の下あたりに口付けた。
チリッとした痛みを感じてなにかと思っていると、東堂さんはその部分を舌で撫でてから離れた。
なにをしたのか聞けずにいる私に気付いた東堂さんは、「そのうちにわかる」とだけ言って笑い、私の乱れた服を直す。
なにが〝そのうちにわかる〟のか、気にはなったものの、強引なキスで戸惑っているままの頭では追及するのは無理で、早々に諦めた。