御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない
「そういえば、明日の午後からスウェーデンに行ってくる」
まだドキドキしているところに言われ、最初はぼんやり聞いていたけれど、〝スウェーデン〟の単語にハッとして聞き返す。
「え、また海外出張ですか?」
つい四日前帰国したばかりだ。
なのにもう……?と驚いている私に、東堂さんが眉を下げ微笑む。
「ああ。ゆっくりした時間がとれなくて悪い」
私の顔に寂しいという気持ちが出ていたからか、申し訳なさそうに言われ慌てて首を振った。
「あ、いえ……お仕事ですし、仕方ないのはわかってますから。ただ、単純にずいぶん頻繁だなって思って」
「ここまで頻繁なのは俺も初めてだ。でも、これが終わればだいぶ落ち着くから、もっと時間もとれるようになる。帰ってきたら色々出かけたりもしたいし、俺の部屋にも来てもらいたいと思ってる」
そういえば、東堂さんのお部屋にはまだお邪魔したことがない。
東堂さんがそんな風に、私と出かけたり部屋に招きたいと思ってくれていることに嬉しくなりながら「あの、期間はどれくらいですか?」と聞くと「約十二日ってとこだな。日曜に帰ってくる予定でいる」と返ってきた。
「十二日……」
長く感じるものの、きっと移動時間を考えればそこまでではないんだろう。
東堂さんは案外マメで、忙しい中、隙間時間にメッセージなり電話をくれる。だからこうして会うようになってから寂しさを感じたことはなかったのだけれど、やっぱり海外となると時差もあってお互いの空き時間が重なることは少ない。
メッセージでの会話も途切れ途切れになるし、電話はどちらかが無理した時間でないと難しい。