御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない


彩佳さんが准さんを連れ帰ったあと、東堂さんに部屋に来ないかと誘われた。
出張前に東堂さんの部屋の鍵を預かっているし……そしてなにより、まだひとりになるのが怖かったのもあり、着替えを済ませてから東堂さんの車に乗り込んだ。

「ここですか……?」
「ああ」

私のマンションから車を走らせて二十分ほどで到着した東堂さんのマンションは、私もよく目にしていたもので驚く。
通勤途中の電車内からも見えるビル群。その中でもひときわ目立っていたのがこの高層マンションだ。

普通の四角い高層マンションが並ぶ中、上から見たら勾玉のように丸みを帯びた不思議な形をしたデザイナーズマンションは目を引いた。
入居が始まったのもここ数年で、社内でも話題になっていたのはまだ記憶に新しい。

〝マンション内に専用のジムがある〟〝コンシェルジュがいる〟〝プライベートガーデンがある〟
一時期社内を賑わせた話題は、君島先輩や渡さんともした覚えがある。

『どんな素敵な部屋なのか、一度見てみたいですね』なんて呑気に話していたのだけれど……まさかその夢が叶うとは思ってもみなかった。

東堂さんがカードキーを認証させると、マンション専用駐車場に続くシャッターが開く。
私の部屋もオートロックではあるけれど、駐車場までキーが必要なマンションなんて初めてで驚いた。

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