御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない
私の二十四歳という年齢を考えると、この年でのお見合いは今の時代には珍しいかもしれない。しかも、私が希望したものではないのだから余計に。
だから、父からこのお見合い話を持ち掛けられたときには戸惑った。
まだ働き始めて二年が経とうとしているところで辞めるつもりはないし、それよりなにより私の恋愛偏差値はゼロだ。お付き合いもしたことがないのに結婚なんて考えられない。
けれど、笑顔で勧めてくる母を見たら断ることもできずうなずいた、というのが私のここまでの経緯だった。
そんなだから乗り気ではなかったのに、なんとなく来る日も来る日も東堂さんのプロフィールを見ているうちに不思議と興味が湧いた自分自身には驚いた。
東堂さんの外見がとても整っているというのも大きな理由だったと思う。
知性的な眉に、意思の強そうな奥二重の目。通った鼻立ちと、形のいい唇。向かって左眉の上で分けた髪は自然に流されていて、前髪の長さは眉の上。
無駄のない綺麗な輪郭やスッキリした首から、写真には写っていない体まで想像がつくようだった。きっとスタイルもいいんだろうなと思った。
写真からは、とても美形な男性だということしかわからない。わからないからこそ、どんな人なんだろうとたくさん考えたし、実際に会って知りたいとも思った。