御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない
「オムライスってリクエストされた時には、正直、そんなのでいいのかな?って思ったんですけど、そのうちに深読みしすぎて身構えちゃいました。シンプルな料理で腕試しされるのかなって」
笑いながら言った私に、東堂さんは心外そうに眉を寄せる。
「いや、そんなつもりじゃなくて、ただ好きなだけだったんだが……変に不安にさせたなら悪かった」
「いえ。私も好きです。オムライス。こういう家庭のオムライスも好きですし、専門店で出てくるようなホワイトソースのかかったものも好きです。東堂さんは普段料理はされないんですか?」
「あまり時間もないしな。でも、キッチンに立つのは嫌いじゃないし、時間があればこだわりそうな気はしてる」
「なんとなくわかります」
談笑しながら、食事を進める。
私は普段から食べるのがゆっくりなので、誰かと食事に行ってもひとり取り残されるのがほとんどだ。
だから、男性の東堂さんが食べ終わった頃、私はまだ半分……くらいのペースでもおかしくないのに、ふたりのお皿に残った量は大きく変わらなそうだった。
そういえば、レストランで食べていた時もそうだった。
ひと皿を食べ終わるタイミングはほぼ同じで、私は場の緊張も手伝ってその時は気付けなかったけれど、あれはもしかしたら東堂さんが合わせてくれていたのかもしれない。
そして、たぶん、今も……と思い口を開く。