御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない
時間が十八時台ということもあり、ドライブがてら少し遠くのイタリアンまで足を伸ばすかと提案されうなずき、会話をしながら車に揺られること十分。
話していると安心するのは、東堂さんがしっかりとした大人なのが会話の端々で伝わってくるからだろう。
見聞も広く、なにに対しても詳しいのもとても魅力的で、話していて楽しい。
頼りがいのある男性が傍にいることがこんなに心強いものなのだと初めて知り、その安心感に包まれとても満たされた気分だった。
そんななんでも知っていて恋愛経験も豊富そうな東堂さんなら、恋愛のスタンプについても教えてくれそうな気がして、「そういえば、わからないことがあって」と切り出す。
なんの意識もなしに口にした私の質問を聞くなり、東堂さんは眉を寄せ……今、というわけだった。
「東堂さんならなんでも教えてくれる気がしたので……すみません」
社会人になってからというもの、君島先輩に『くだらないすれ違いの原因になりかねないから、気になったらどんなに小さいことでも聞くように』と口を酸っぱくして言われているせいか、つい頭に浮かんだことをそのまま聞いてしまった。
でも、一般的にはこういうことは本人には直接聞かないものかもしれないと思い、謝る。
そういえば、昔からこの辺は周りとはズレていたっけと思う。
思ったことがそのままポロッと声になり、なんとも言えない雰囲気が場を包む機会は今までもあった。