御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない


「女関係は?」

不躾にも思える声とぶつ切りの言葉は、普段の渡さんらしくなくて少し驚く。
そういえば、東堂さんの電話を受けてから様子がおかしいし……もう酔いが回ったのだろうか。

そう思いながら見ている先で、気に入らなそうに片眉を上げた渡さんが続ける。

「どうせモテたでしょ。顔も俺ほどじゃないにしても美形だし? それで東堂プロダクツの御曹司なんて肩書ついてたら無敵だと思うんですけど。相当遊んだんじゃ……ぅぐっ」

言い切る前に、君島先輩が渡さんの肩に肘を置き体重をかける。

「すみません。この子、自分の顔に自信を持っているのはいつものことなんですけど、なんだか今日は変な酔い方してるみたいで」

渡さんの言葉を失礼だと判断したのか、先輩がフォローするように笑う。
それでも、渡さんは負けずに口を開いた。

「いや、だって大事でしょ。そういうこと確認するのは。春野は遠慮しちゃってどうせそこまで突っ込んで聞けないし。東堂さんがどこまで本気で春野を口説いてるんだか知らないけど、昔の女関係は知っておかないと春野だって安心できないし」

君島先輩の肘をどけながら言った渡さんが、「で、どうなんすか?」と東堂さんを見る。
その瞳には真剣さが浮かんでいて、それに気付いてなのか、東堂さんがゆっくりと話し出す。

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