御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない
「晃成さんって、素敵な名前だなって。日と光が合わさっている漢字を選ぶご両親はどんな人なんだろうって、たくさん、たくさん考えて今日を迎えました」
さっき、あれだけ淡々と用件だけを言った東堂さんだけど、私の話にきちんと耳を傾けてくれていて、そこが少し意外だった。
〝話を長引かせるつもりはない〟と言っていたのに、遮らず聞いてくれる姿に少しだけホッとしながら続ける。
「正直に白状すると、私、すごくわくわくドキドキしてここまで来たんです。だから……すみません。そんな態度をとられてしまうのは、やっぱりちょっとだけショックです」
カッコつけて嘘をついても仕方ないので、感じたままを口にする。
最初こそ面食らったような表情で私を見ていた東堂さんだったけれど、今はわずかに眉を寄せていた。
対応に困ったみたいな顔をする東堂さんに、苦笑いを向けた。
「なんて、身の程知らずですね。困らせるつもりはなかったんです。すみません。私なんかが東堂さんとこうして同じ席に座っていただけているのだから、それだけで贅沢な話なのに」
なるべく明るい声で続けた。
「東堂さんの写真を眺めて想像をたくさん膨らませるような夢見がちな私なので、やっぱり東堂さんの相手は務まりそうもありません」
すっかり黙ってしまった東堂さんに微笑みかける。