御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない
『相手が自分以外の異性とイチャイチャしているところを見たくないとか。やきもち焼けるかどうかはスタンプカードの項目に絶対入ると思う』
脅迫状の件で昔の恋人の存在に気付いたとき。私は、東堂さんが他の誰かと並んで立つところを想像したくないと思った。
『ひとりでいる時に、ふと思い出して気持ちがあったかくなったらっていうか……こう、ほこほこするっていうか。〝癒される〟と〝ドキドキする〟の合間みたいな感情がわく感じ』
東堂さんと話していると楽しいし、時間があっという間に過ぎていく。会えない時間は次の約束が待ち遠しくて、何度も携帯でカレンダーを確認した。
今日だって、ただ会えているだけでどうしようもないくらい嬉しくて、脅迫状のことだってどうでもよくなるほどだった。
『咄嗟のときとか感情的になったりした時に、自制が利かずに言ったり動いたりしちゃうのも、たぶん、好きな子が相手のときなんだよな』
そして、自制ができずにキスまでした。
まだ、自分自身の気持ちがふわふわしていて不安なところはある。
でも、私は誰彼構わずキスしたいなんて思わない。絶対に。そこには自信があった。
相手が東堂さんだからだ。
背中に手を回すことはさすがにできなくて、東堂さんの脇のあたりをギュッと握る。
すると東堂さんがふっと笑った。