御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない


「スタンプはどうした? 十個押せたのか?」
「あ……はい。たぶん。……でも、スタンプだとか考えるよりも先に、体が動いてました。自分が結構衝動的なんだって知って、びっくりしてます」

あれだけ恋がどんなものなのかがわからないと言って、君島先輩や渡さんに相談に乗ってもらったのに、箱を開けてみれば自分からキスしていた。

私自身も知らなかった人格が急に現れたみたいでびっくりしながら言った私に、東堂さんが笑う。

「俺も、恋愛はそういうものだと思う。好きならまず本能で体が動く」

そう言った東堂さんがわずかに距離をとる。
見上げようとした瞬間に、チュッと触れるキスをされ目を見開いた。

私がしたのとは違う、スマートなキスに目をしばたたき……それからハッとする。

「そういえば私、ファーストキスでした……」

独り言のように言い、よく初めてなのに自分からできたものだと感心していると、すぐに「心配しなくても責任ならとる」と言われ、慌てて首を振った。

「え、いえ、すみません。そういうつもりで言ったわけじゃないんです。それにキスくらいで責任なんておおげさなことは言いませ……んっ」

言い終わる前に再び唇が重なる。
さきほどとは違い、私の頭を抱えるようにして唇を合わせた東堂さんが、もう片方の腕で私の腰を抱き寄せる。

密着してのキスに戸惑い、ただ唇を引き結んでいたけれど、そのうちに東堂さんの親指に唇を割られた。
そのまま東堂さんの舌が入り込んできて、思わず肩が跳ねる。

初めての経験にどうしていいかがわからず奥で縮こまっている私の舌を、東堂さんが絡めとる。
優しく吸われ、撫でられれば背中をぞくぞくとした感覚が走る。気付けば、東堂さんの服を必死に握っていた。

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