能力を失った聖女は用済みですか?
「くっ……だ、だが、聖女は帰りたいと思ってるかもしれないぞ!?」
ラシッドは期待を込めた目で私を見た。
……いや、思うわけないでしょう?
どうしてそう思ったのか、そのおめでたい頭の中を覗いてみたいものだ。
「全然思いません。シャンバラにいたいです」
「はぁ!?……い、いや……そんなことはないだろう?ロランで何不自由のない生活をしていたはずだ!」
「そうですね……与えられるものに不満はありませんでしたよ?その点に関しては感謝しています……だけど、そんな物的なものではなくて……私自身がここにいることに生き甲斐を感じているんです!ですから、ラシッド王子……このままロランにお帰りください」
案外落ち着いて言えたな、と自分で驚いた。
気持ちは伝えられた。
後は、ラシッドがどうでるか、だ。
「そういうことだ。王妃ルナはシャンバラで生きる。私と民と共に、な」
畳み掛けるようにカイエンが言うと、ラシッドは黙って俯いた。
悪巧みや次の手を考えているようには……見えない。
途方に暮れている、というのがしっくりくる姿だ。
「……どうすれば……良いのだ……」
ラシッドの絞り出した呟きに私とカイエンは顔を見合わせた。
どうすれば良いのだ、なんて言われても困る。
案の定、シスルもイズールも肩を竦め、ロランの隊長まで困惑の表情を浮かべた。
ブツブツと呟き、全く動かなくなったラシッドに、仕方なくカイエンが告げた。
ラシッドは期待を込めた目で私を見た。
……いや、思うわけないでしょう?
どうしてそう思ったのか、そのおめでたい頭の中を覗いてみたいものだ。
「全然思いません。シャンバラにいたいです」
「はぁ!?……い、いや……そんなことはないだろう?ロランで何不自由のない生活をしていたはずだ!」
「そうですね……与えられるものに不満はありませんでしたよ?その点に関しては感謝しています……だけど、そんな物的なものではなくて……私自身がここにいることに生き甲斐を感じているんです!ですから、ラシッド王子……このままロランにお帰りください」
案外落ち着いて言えたな、と自分で驚いた。
気持ちは伝えられた。
後は、ラシッドがどうでるか、だ。
「そういうことだ。王妃ルナはシャンバラで生きる。私と民と共に、な」
畳み掛けるようにカイエンが言うと、ラシッドは黙って俯いた。
悪巧みや次の手を考えているようには……見えない。
途方に暮れている、というのがしっくりくる姿だ。
「……どうすれば……良いのだ……」
ラシッドの絞り出した呟きに私とカイエンは顔を見合わせた。
どうすれば良いのだ、なんて言われても困る。
案の定、シスルもイズールも肩を竦め、ロランの隊長まで困惑の表情を浮かべた。
ブツブツと呟き、全く動かなくなったラシッドに、仕方なくカイエンが告げた。