能力を失った聖女は用済みですか?
「聖女がいなくなって、ロランには次々と災害が起こった。草木が枯れ井戸が干上がり、作物が軒並み不作になったんだ。まるで精霊の加護を失ったように……」
「精霊の加護を失う……」
そういえば、ディアーハもガラティアも言ってなかったっけ?私と精霊達を隔てる何か、ガラティアはそれを薄いヴェールがかかっているようだ、と言った。
「それが、ロラン国王の件と何か関係あるのか?」
カイエンが言った。
何が気に入らないのか、彼の口調はキツく、眉間に皺も寄っている。
そんなシャンバラ王を見て、ラシッドは怯えながら返した。
「関係はある。だいだいその頃からだ。父上がおかしくなったのは……側室のアイーシャの元に入り浸り、国政を投げ出した。今では、アイーシャの部屋から一歩も出ない」
「まぁ……」
かなりアイーシャを溺愛していたけど、部屋から出なくなるなんて少し異常だ。
でも……それは私にはどうしようもない。
「このままでは、ロランは滅びてしまう。だがっ、聖女の力があれば回避できる!失われた力が、再び戻ったのは知ってるんだ。シャンバラの奇跡がその証拠!」
ラシッドが話を元に戻すと、カイエンの堪えていた怒りが爆発した。
「力が戻ったからどうした!お前達は召喚に応じてくれたルナを、使えなくなった途端追い出したんだ!これ以上ルナを悲しませることはオレが許さん!さっさと帰れ!」
身を乗りだし激昂するカイエンは、とても迫力があった。
でも、不思議と怖くはない。
彼は……私が言いたくて言えなかったことをハッキリと言ってくれた。
追い出されて悲しかったこと、途方にくれたこと。
叫びたくても出来なかった私に代わり、カイエンが声に出してくれたんだ。
「精霊の加護を失う……」
そういえば、ディアーハもガラティアも言ってなかったっけ?私と精霊達を隔てる何か、ガラティアはそれを薄いヴェールがかかっているようだ、と言った。
「それが、ロラン国王の件と何か関係あるのか?」
カイエンが言った。
何が気に入らないのか、彼の口調はキツく、眉間に皺も寄っている。
そんなシャンバラ王を見て、ラシッドは怯えながら返した。
「関係はある。だいだいその頃からだ。父上がおかしくなったのは……側室のアイーシャの元に入り浸り、国政を投げ出した。今では、アイーシャの部屋から一歩も出ない」
「まぁ……」
かなりアイーシャを溺愛していたけど、部屋から出なくなるなんて少し異常だ。
でも……それは私にはどうしようもない。
「このままでは、ロランは滅びてしまう。だがっ、聖女の力があれば回避できる!失われた力が、再び戻ったのは知ってるんだ。シャンバラの奇跡がその証拠!」
ラシッドが話を元に戻すと、カイエンの堪えていた怒りが爆発した。
「力が戻ったからどうした!お前達は召喚に応じてくれたルナを、使えなくなった途端追い出したんだ!これ以上ルナを悲しませることはオレが許さん!さっさと帰れ!」
身を乗りだし激昂するカイエンは、とても迫力があった。
でも、不思議と怖くはない。
彼は……私が言いたくて言えなかったことをハッキリと言ってくれた。
追い出されて悲しかったこと、途方にくれたこと。
叫びたくても出来なかった私に代わり、カイエンが声に出してくれたんだ。