能力を失った聖女は用済みですか?
ロランの一行が帰るとすぐに、カイエンは情報を集め始めた。
南方のアッサラームやフレイヤ、北方のヤマトマとスーリヤ、外交で関わりのある国々とコンタクトを取り、ロランで起きている問題を探るべく行動を開始したのである。
実際の被害状況はどうか?
本当は何が起こっているのか?
王宮内部にいるラシッドやロラン兵からは見えない民の姿を、客観的に知りたかったのだと思う。
それは、隣国の王として手を差し伸べるため。
飢えの苦しみを知っているカイエンは、この件を出来るだけ早く解決したいと考えているようだ。
情報収集の使者を送ってから、一週間後。
情報の取りまとめ役を買って出た、アッサラームのシャル殿下がやって来て、早々に会議が開かれた。
面子はカイエンとシスル、シャルとアミード。
その中に私も加えてもらった。
「いやぁ、まさかルナさんがロランの聖女様だったとは」
シャルは着いて早々言った。
彼はアミードから届いた書状で、シャンバラの奇跡の全てを知ったらしい。
「すみません……言い出せなくて……」
「いえ。その気持ちはわかります。叔父上が聖女にあまり良くない感情を持っていましたから……」
シャルはチラリとカイエンを見た。
南方のアッサラームやフレイヤ、北方のヤマトマとスーリヤ、外交で関わりのある国々とコンタクトを取り、ロランで起きている問題を探るべく行動を開始したのである。
実際の被害状況はどうか?
本当は何が起こっているのか?
王宮内部にいるラシッドやロラン兵からは見えない民の姿を、客観的に知りたかったのだと思う。
それは、隣国の王として手を差し伸べるため。
飢えの苦しみを知っているカイエンは、この件を出来るだけ早く解決したいと考えているようだ。
情報収集の使者を送ってから、一週間後。
情報の取りまとめ役を買って出た、アッサラームのシャル殿下がやって来て、早々に会議が開かれた。
面子はカイエンとシスル、シャルとアミード。
その中に私も加えてもらった。
「いやぁ、まさかルナさんがロランの聖女様だったとは」
シャルは着いて早々言った。
彼はアミードから届いた書状で、シャンバラの奇跡の全てを知ったらしい。
「すみません……言い出せなくて……」
「いえ。その気持ちはわかります。叔父上が聖女にあまり良くない感情を持っていましたから……」
シャルはチラリとカイエンを見た。