能力を失った聖女は用済みですか?
そんなつもりはさらさらない。
事実を簡潔に述べただけなのに、どうやら地母神は少し傷付いたようだ。

『ふん!しかしな、手がないとは言ってないぞ?』

「えっ!?結界を破る方法があるんですか!?」

「そうなのか!何とか出来るのか、あ、すまん、また……口を挟んでしまった」

カイエンは申し訳なさそうに言ったけど、ガラティアはそれに返答した。

『出来る……まぁしかし、妾ではなくお主らがやるのだかな』

「私達が?」

『そうじゃ。結界は精霊や神霊を通さぬが人は通す』

「あ……」

そう。
確かにそうだ。
私もロランからシャンバラに来たし、ラシッドも来れた。
そして、彼はロランに戻ることも出来ている。

『気付いたようじゃの?邪神の糧は人の欲じゃからな。人がおらねば力は増やせぬ』

「それで、私達が潜入して……ん?……潜入してどうするんです!?」

結界を人が通れることはわかったけど、中に入って何が出来るのか。
邪神と戦え!なんて無茶振り……しないわよねぇ?

「待て待て!今どういう話になってるんだ?潜入ってなんだ?ルナ、教えてくれ!」

「あ、はい。実は……」

私は今の会話の内容をカイエン達に伝えた。
< 148 / 204 >

この作品をシェア

pagetop