能力を失った聖女は用済みですか?
『ウオッホン!良いか、良く聞け。何もお前達が邪神とやり合う必要はない。さしあたってやって貰いたいのは、ロランの民の心の救済じゃ!』

「心の救済……ですか?」

『うむっ!……おや?なんじゃ、まだわからんのか?』

私がポカンとしたのを見て、ガラティアは少し嬉しそうな顔をした。
上から目線で言えることが楽しくて仕方ない、そんな表情である。

『やれやれ、仕方ないのう。邪神の結界の糧はなんじゃ?』

「えっと……人の不安とか恐怖とか……あっ、もしかしてそれを取り払うことが心の救済なのですか?」

『正解じゃっ!ロランの民の心が穏やかになれば、邪神の結界が弛む。その隙に妾が奴を封印してやるぞえ!』

「封印!?ガラティア様が邪神を封印して下さるんですか!さすが、地母神ですね!」

そう言うと、ガラティアは天を仰いでワハハと笑った。
私の反応が思った以上だったらしく、かなりご満悦である。
面倒臭い地母神だけど、半ば無理だと思っていた邪神退治に光明が見えたのもガラティアのおかげ。
そう考えると、たっぷり崇め奉ってもお釣りがくる。
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