能力を失った聖女は用済みですか?
製造所へ戻ってみると、ちょうどお昼休みの終わりを告げる鐘が鳴ったところだった。
一階大広間を改良した休憩室からは、各仕事場へ向かう人々がわらわらと出てくる。
その中には各部署のリーダー達がいて、副所長の肩書きを持つシータもいた。
呼びに走る手間が省けた。
その場で全員を呼び止めた私は、閑散とした休憩室で会議を始めた。

『第一回、製造所リーダー会議』の議題は、図らずも重い話になった。
ロランで起こっている災い。
それが邪神の仕業だ、という俄に信じられない話を私は皆に語った。
カイエン達との会議の内容。
そして、地母神ガラティアが語った真実。
包み隠さず全てを皆に伝えた。
実は、それには私なりの理由があったのだ。
シャンバラは、隣国のロランに助けを求めたのにも拘わらず、一蹴された経緯がある。
それなのに、なぜ自分たちが彼らを助けなくてはならないのか、と面白くない人もいるかもしれない。
だから、正確に嘘偽りなく、真摯に協力を仰ぎたい……そんな思いがあったからだ。

「どう思いますか?皆さん、カイエン陛下や私に協力してもらえますか?」

問うと、リーダー達は身動ぎもせず私を見詰めた。
これは、どういうリアクションなのだろう?
不思議に感じていると隣に座っていたシータが、立ち上がり言った。
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