能力を失った聖女は用済みですか?
「じゃあ、シータも行くわっ!」
「……え?……ど、どうして?」
いや、なんでそういう結論になった?
「ロランは今、すごく危ないから、ルナねぇさまに何かあったらいけないでしょ?心配だから一緒に行くわっ」
「……あのね、危ないからシータを連れては行けないのよ?」
「イヤっ!……もう家族がいなくなるのはイヤなの!」
大きな瞳をうるうるとさせながらシータは叫んだ。
……そうか、そうだったわ。
シータはシャンバラの内乱で両親を失ったのだ。
いつも元気で明るいから、つい忘れてしまうけど、本音を言えば寂しいに違いない。
それを、気付いてあげられなかったなんて。
でも、邪神の支配するロランでは何が起こるかわからないし、危険すぎる。
「シータ……私、ちゃんと帰ってくるよ?それにね、ロランの状況は全くわからなくて……」
「大丈夫よっ!ルナシータを配るのなら、たくさん人がいるでしょ?ロランにはお腹を空かせた子供もいるだろうし、怯えさせないように子供同士の方がいいと思うの」
「う……それは、確かに……」
正論すぎる。
大人だけじゃなく、子供もいた方が相手の警戒心は下がる。
でも、若干丸め込まれている気もしないでもない……。
「でしょ?それに、ディアーハちゃんもいるんだもん!大丈夫大丈夫!」
その言葉を聞いて、私の背後がざわついた。
最近出番が少ない聖獣が、名前を呼ばれて反応したのである。
彼は出て来なかったけど、シータに頼りにされてかなり喜んでいるのが雰囲気でまるわかりだ。
「はぁー……仕方ないなぁ。十分気を付けて、絶対に一人にならないこと!いい?」
「はぁい!!」
良い返事をしたシータは、駆け足で仕事に戻っていった。
やれやれ……。
心配ではあるけど、ルナシータの生産に一から携わっているシータがいれば、何かと上手く行きそうな気がする。
後は、アッサラームからの応援を待ち、ルナシータを大量生産してロランへ。
それまでなんとかロランが持ち堪えてくれたら。
そう願いながら、私は休憩室を出て所長室へと向かった。
「……え?……ど、どうして?」
いや、なんでそういう結論になった?
「ロランは今、すごく危ないから、ルナねぇさまに何かあったらいけないでしょ?心配だから一緒に行くわっ」
「……あのね、危ないからシータを連れては行けないのよ?」
「イヤっ!……もう家族がいなくなるのはイヤなの!」
大きな瞳をうるうるとさせながらシータは叫んだ。
……そうか、そうだったわ。
シータはシャンバラの内乱で両親を失ったのだ。
いつも元気で明るいから、つい忘れてしまうけど、本音を言えば寂しいに違いない。
それを、気付いてあげられなかったなんて。
でも、邪神の支配するロランでは何が起こるかわからないし、危険すぎる。
「シータ……私、ちゃんと帰ってくるよ?それにね、ロランの状況は全くわからなくて……」
「大丈夫よっ!ルナシータを配るのなら、たくさん人がいるでしょ?ロランにはお腹を空かせた子供もいるだろうし、怯えさせないように子供同士の方がいいと思うの」
「う……それは、確かに……」
正論すぎる。
大人だけじゃなく、子供もいた方が相手の警戒心は下がる。
でも、若干丸め込まれている気もしないでもない……。
「でしょ?それに、ディアーハちゃんもいるんだもん!大丈夫大丈夫!」
その言葉を聞いて、私の背後がざわついた。
最近出番が少ない聖獣が、名前を呼ばれて反応したのである。
彼は出て来なかったけど、シータに頼りにされてかなり喜んでいるのが雰囲気でまるわかりだ。
「はぁー……仕方ないなぁ。十分気を付けて、絶対に一人にならないこと!いい?」
「はぁい!!」
良い返事をしたシータは、駆け足で仕事に戻っていった。
やれやれ……。
心配ではあるけど、ルナシータの生産に一から携わっているシータがいれば、何かと上手く行きそうな気がする。
後は、アッサラームからの応援を待ち、ルナシータを大量生産してロランへ。
それまでなんとかロランが持ち堪えてくれたら。
そう願いながら、私は休憩室を出て所長室へと向かった。