能力を失った聖女は用済みですか?
第六章 聖女、闇を退ける
早朝、太陽が顔を出したのを合図に、私達はロランに向けて出発した。
一番前にはイズールと小隊の兵士数人が。
その後ろに5台の荷馬車が連なり、真ん中の馬車にカイエンと私、シータが乗る。
最後尾には小隊の残りの兵士が、周囲を警戒しながら進んで行く。
荷物の重量があるのでスピードはかなり遅く、どんなに頑張っても到着は昼過ぎになる概算だ。
早起きをし過ぎたシータは、まだ眠いらしく、私の肩に凭れて眠ってしまった。
向かい合って座るカイエンは、そんな私達の様子を微笑ましく眺めている。
……お、お、落ち着かないっ!
これじゃ、安心して居眠り出来ないじゃないの!
昨日あまり眠れなかったから、出来るなら馬車の中で寝たい。
だけど、不眠の原因であるカイエンが目の前にいて、呑気に寝てなんていられないのだ。
せめて、何か話題があれば余計なことを考えなくて済むのに。
そんなことを思っていると、カイエンが口を開いた。
「シータは本当にルナが好きだよな」
「……私、姉妹はいなかったから、嬉しいです」
「そうやってると、本当の姉妹みたいだ……なんだか、懐かしいな」
カイエンは窓の外に目を向けた。
在りし日の記憶を思い出している、そんな表情で。
「もしかして、アッサラームのお姉さんのこと、考えてますか?」
「なんでバレたんだ?」
「姉妹のことを言い出したので、もしかしてって……」
本当は昨日のシスルの話が忘れられないからだった。
カイエンの理想の女性像を確立した人。
素晴らしい王様に成長したカイエンを育てたのだったら、きっと完璧な女性に違いない。
一番前にはイズールと小隊の兵士数人が。
その後ろに5台の荷馬車が連なり、真ん中の馬車にカイエンと私、シータが乗る。
最後尾には小隊の残りの兵士が、周囲を警戒しながら進んで行く。
荷物の重量があるのでスピードはかなり遅く、どんなに頑張っても到着は昼過ぎになる概算だ。
早起きをし過ぎたシータは、まだ眠いらしく、私の肩に凭れて眠ってしまった。
向かい合って座るカイエンは、そんな私達の様子を微笑ましく眺めている。
……お、お、落ち着かないっ!
これじゃ、安心して居眠り出来ないじゃないの!
昨日あまり眠れなかったから、出来るなら馬車の中で寝たい。
だけど、不眠の原因であるカイエンが目の前にいて、呑気に寝てなんていられないのだ。
せめて、何か話題があれば余計なことを考えなくて済むのに。
そんなことを思っていると、カイエンが口を開いた。
「シータは本当にルナが好きだよな」
「……私、姉妹はいなかったから、嬉しいです」
「そうやってると、本当の姉妹みたいだ……なんだか、懐かしいな」
カイエンは窓の外に目を向けた。
在りし日の記憶を思い出している、そんな表情で。
「もしかして、アッサラームのお姉さんのこと、考えてますか?」
「なんでバレたんだ?」
「姉妹のことを言い出したので、もしかしてって……」
本当は昨日のシスルの話が忘れられないからだった。
カイエンの理想の女性像を確立した人。
素晴らしい王様に成長したカイエンを育てたのだったら、きっと完璧な女性に違いない。