能力を失った聖女は用済みですか?
ロラン王と王宮正門で別れ、私とカイエンは町に出た。
覆っていた白い霧はもうどこにもなく、見慣れた城下町の風景がそこにあった。
「良かった。霧が晴れてますね」
「ああ。一安心だな」
カイエンと頷き合っていると、町の中心地辺りに人集りが出来ているのを発見した。
霧が晴れたことで、民家からは大勢の人が出てきている。
そのほとんどが、中心地にある広場に集まっているようだ。
「何でしょうね……あ、あれ!シータやワト、イズールもいますよ!」
広場にはシャンバラの荷馬車が止まっていて、シータやイズールがルナシータを配りながら忙しく働いている。
そのまわりでは、ワトがビラ配りの布教活動をしていた。
……もう、布教活動はしなくていい、と言うべきか。
でも、イキイキとしたワトを止めるのも可哀想だし、ガラティアの力もまだまだ必要である。
そんな訳で、今後もワトには継続して布教活動して貰おうという考えに落ち着いた。
『では、妾は先に帰る。シャンバラで会おうぞ!』
ふわふわ浮いていたガラティアは突然帰国宣言をした。
「は、はい!ありがとうございます!今日はお疲れ様でした!また、シャンバラで!」
「ガラティア様!ありがとうございます!」
空気を読んだカイエンは、私に続いてお礼を言った。
すると、満足そうに微笑んだガラティアはスーッと空に溶けるように消え、続いてディアーハも姿を消した。
「また、シャンバラで……か」
カイエンが言った。
「え、どうしました?」
「いや、いい響きだなと思って。また、シャンバラで……そうやって、みんなが集まれる楽しい国にしたいものだよな」
「……出来ますよ。だって、カイエン様が王なんですから!」
「そ、そうだろうか……う、うん、頑張るよ」
カイエンは空を仰いだ。
災厄が過ぎ去った空は透き通る青。
遥か向こうのシャンバラまで続いているだろう青空を見ながら、私は思い切り息を吸った。
覆っていた白い霧はもうどこにもなく、見慣れた城下町の風景がそこにあった。
「良かった。霧が晴れてますね」
「ああ。一安心だな」
カイエンと頷き合っていると、町の中心地辺りに人集りが出来ているのを発見した。
霧が晴れたことで、民家からは大勢の人が出てきている。
そのほとんどが、中心地にある広場に集まっているようだ。
「何でしょうね……あ、あれ!シータやワト、イズールもいますよ!」
広場にはシャンバラの荷馬車が止まっていて、シータやイズールがルナシータを配りながら忙しく働いている。
そのまわりでは、ワトがビラ配りの布教活動をしていた。
……もう、布教活動はしなくていい、と言うべきか。
でも、イキイキとしたワトを止めるのも可哀想だし、ガラティアの力もまだまだ必要である。
そんな訳で、今後もワトには継続して布教活動して貰おうという考えに落ち着いた。
『では、妾は先に帰る。シャンバラで会おうぞ!』
ふわふわ浮いていたガラティアは突然帰国宣言をした。
「は、はい!ありがとうございます!今日はお疲れ様でした!また、シャンバラで!」
「ガラティア様!ありがとうございます!」
空気を読んだカイエンは、私に続いてお礼を言った。
すると、満足そうに微笑んだガラティアはスーッと空に溶けるように消え、続いてディアーハも姿を消した。
「また、シャンバラで……か」
カイエンが言った。
「え、どうしました?」
「いや、いい響きだなと思って。また、シャンバラで……そうやって、みんなが集まれる楽しい国にしたいものだよな」
「……出来ますよ。だって、カイエン様が王なんですから!」
「そ、そうだろうか……う、うん、頑張るよ」
カイエンは空を仰いだ。
災厄が過ぎ去った空は透き通る青。
遥か向こうのシャンバラまで続いているだろう青空を見ながら、私は思い切り息を吸った。