能力を失った聖女は用済みですか?
「うん。美味しいです!食べて働かなきゃ、ですね!」

そう言った私の顔を、カイエンはずっと笑顔で見ている。
顔に何か付いてるのかな?もしかして、パン屑が頬に!?
慌ててゴシゴシと擦っていると、シータが走りながらやって来た。

「ルナねぇさま!もう、食べた?」

「ん?うん、すぐ終わるよ!」

急いで葡萄を口に放り込んだ私の手を、笑顔で引っぱるシータ。
彼女は、今日も元気全開のようだ。

「じゃあ、苗のお世話、行きましょ?」

「うん、行こうか!」

「ふーん。オレも行こうかな」

カイエンが口を挟んだ。

「カイエン様も苗係なんですか?」

「……」

黙ったところを見ると、たぶん違うな。
私が訝しんでいると、シータが言った。

「ダメですよぅ。カイエン様は、いつものお仕事があるでしょ?」

「うっ……」

少女にしてやられる王様。
その構図のほのぼの感に私の心もなごむ。
シータに叱られたカイエンは、仕方なくシスルの元へと帰って行き、荷馬車への積込作業を始めた。
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