能力を失った聖女は用済みですか?
「本当に、稼げるんですか?」

ちょっといやらしい聞き方になってしまった。
そんな金の亡者のような問いを、アミードは全く気にしない。
それどころか、どうして稼げるのかをより詳しく綿密に、いろいろな分析データを交えつつ説明してくれたのである。

「……と、以上の点を踏まえて、この結論に至った訳ですが……まだ、何か御質問が?」

「いえ。十分です」

何もかも完璧に考え抜かれた分析に、それ以上何も言えなかった。
もう、絶対売れる気しかしない。
例え売れなくても、アミードなら何とかしてしまいそうだ。
それに、ルナシータが売れて、シャンバラが豊かになるなら、願ったり叶ったりである。

「ルナ、どう思う?お前が良ければ進めたいのだが」

カイエンが私に言った。

「やりましょう!どう考えても美味しい話です。労働力だけで、コストも掛からない。ルナシータが売れて、シャンバラが潤うなら、私、アミードさんの案に乗ってみたいと思います」

どこをとっても、シャンバラに得しかないのに、カイエンの表情には、少し憂いが見える。
私が王なら、すぐに飛び付いてしまう案件だけど?

「カイエン様、何か心配事でも?」

その様子を不思議に思ったのか、アミードが言った。

「まぁ、少しな。ルナシータを商品化するとなると……ルナが一番忙しくなるだろう。集落の視察もあるのに、大変だと思ったんだ」

「えっ!私の心配ですか?」

「う、うん。なんだ?心配してはいけないか?」

「いえ……そういうわけでは……」

国の危機に、私の心配なんてしてる場合じゃないと思うよ?
今日のように無茶振りされるのは困るけど、働くのは好きなのでもっとこき使われてもいいくらいだ。
そう思っていると、微妙な空気の私達を見たシャルが、訳知り顔で頷いた。
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