能力を失った聖女は用済みですか?
第三章 聖女、空を駆ける
燦々と照る太陽のもと、今日も今日とて、イモは実る。

当初「この大豊作はただのラッキー現象では?」という私の心配は、ここ一週間の収穫状況で180度覆された。
前述の言葉どおり、イモは毎日毎日、決められたように実っている。
しかも、おイモの精霊が律儀な性格なのか、前日の数を超えずだいたい毎日同量なのだ。

アッサラームのシャル一行は、2日間滞在し、その後帰途についた。
それから、アミードが作成した生産計画書に沿って、シャンバラ王宮は皆総出でルナシータの生産に乗り出した。
カイエン達補給部隊も、ローテーションを組み、他の仕事の合間に手伝ってくれる。
イモを掘り出して洗うのは誰でも出来るけど、巨大イモを切断するのは補給部隊にしか出来ない。
商売が軌道にのれば、裁断器の購入も検討したいけど、そんな夢は今は見ない。
堅実に、実直に、ルナシータを作るのみである。
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