能力を失った聖女は用済みですか?
そうして、私達はアルバーダへ戻り、全員が集会所に集まった。
帰った頃にはすっかり陽は落ち、一泊アルバーダで過ごすことにしたのである。

「それじゃあ、ロランの聖女様ってのは、精霊と話が出来る、ということか?」

驚いたハシムが甲高い声を上げた。

「はい。万物精霊の声を聞き、力を借りる。そうやって大地と人間との均衡を保つのが私の仕事でしたが……」

「今はその力がない」

隣に座ったカイエンが言った。
アルバーダに着くまでの道中で、私はカイエンにここまでの軌跡を語って聞かせた。
この世界にやって来るまでのこと。
そして、やって来てからのこと。
もちろん、シャンバラの危機を知らなかったことも……嘘偽りなく話した。
知らなかったからといって、許されるわけではない。
だけど、カイエンはそれを責めたりしなかった。
それどころか、私が気に病んでいないかと心配するほどであった。
< 97 / 204 >

この作品をシェア

pagetop