チョコなんてあげないっ!
意地悪で、嫌なこともしょっちゅう言われるけど。
こうやってマフラーを貸してくれたり、さっきも500円玉を取ってくれたりと、優しいところも沢山あって。
そんな彼が、たまらなく愛おしい。
「……琳に風邪でも引かれて、学校休まれたら嫌だしな。お前がいなかったら……学校もつまんないし?」
そんなこと言われたら、ますます好きになっちゃうじゃん。
しかも広斗……顔が、真っ赤になってるし。
「やっべ。顔がなんか熱い。
琳お前、今絶対こっち見んな」
そう言って、あたしとは逆方向に顔を向ける広斗。
「広斗、もしかして照れてる?」
「てっ、照れてねぇし。……ポタージュも飲み終わったし、さっさと家帰るぞ」
広斗ってば、耳まで真っ赤。
……可愛い。
「ふふっ。はーい」
バレンタインには素直になって、彼に今の想いを伝えよう。
そう再度決意して、あたしは歩き出した広斗のあとを追いかけた────。