チョコなんてあげないっ!
「あのなぁ、俺の話ちゃんと聞けっつーの」
広斗が、唇をあたしの耳元に近づけて言う。
広斗の息が耳にかかって、くすぐったい。
「いいか? お前が、何を勘違いしてんのか知らねぇけど……
七海は、俺のいとこだよ。父方の親戚の、水谷七海! あと、同じこの学校の1年生な」
え? い……いとこ?!
「いとこは身内なんだから。チョコもらったら、受け取るのは別に普通だろ?
俺からしたら、母親や姉ちゃんにもらうようなもんだよ。それより……」