時計のカルテット~オタクがイケメン侍らせて何が悪い~
「で、名前と出身国教えてよ」

あれ?

さっきまでのチャンチャラチャラ男が見当たらないぞー。

目の前には店主よりも怖い般若のお顔が見えますぞい☆

「えーと出身国は日本。日本国です。名前は池途李葉(いけとりは)です。

貴方は。

貴方は何て名前なの。名前を聞いたんだから、言ってよね」

負けじと睨みつけてやる。

「へ―珍しい名前だね。李葉がファミリーネーム? 後、初めて日本国って聞いたよ。
そんな国あるの? 僕はトゥレス国出身のカノン・ユチーフです。よろしくね」

全然宜しくしようとしてないよね。

目が疑ってまっせ。旦那

しかも日本知らないってことは、やっぱ異世界来ちゃったのかな。

「池途がファミリーネームです。日本国をユチーフさんが知らないだけなのでは。」

声が後半になるにつれて小さくなってしまう。

ユチーフさんの顔が怖すぎて見れない。

そろりと顔を上げて見ると笑った。

笑顔ではあるけど、目の奥が笑ってない。

イケメンの裏が有りそうな笑みは怖すぎる。。。

「ふふっ 結構言うんだね」いやぁ 怖っ 今すぐここから逃げ去りたい。

「ところでお嬢ちゃんはこの後どうする予定何だ」と、

私とチャラ男ことユチーフさんとの会話をニコニコしながら聞いていた店主が聞いてきた。

「え? そうですね。」

何も考えてなかった。御金もないし、扉が消えてしまったからには雨風しのげる家も無い。

「とりあえず、宿付きの仕事を探してみようと思います。紹介所みたいなとこを教えてもらってもいいですか」

とりあえず、とりあえず、現状夜までには宿と仕事を探したい。

「そうだな。仕事探しなら、あのアーチをくぐって、まっすぐ行った先に緑色の屋根が有るから、そこを右に回ると直ぐに黒っぽい建物が紹介所だ。
ここはそんなに入り組んだ場所じゃないから行けば分かるぜ」

緑の屋根の家を右に曲がって黒い家。うん。大丈夫そう。迷子にならず行けそうだ。

「ありがとうございます。行けそうです」

店主にお礼を言い、ユチーフさんにもお礼を言って黒い家に向かおうとした時、

腕をつかまれた。
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