アリサ・リリーベル・シュタルクヘルトは死んだ(修正中)
「決まったか?」
向かいで、あちこちメニュー表を捲っているアリーシャに声を掛ける。
「迷ってしまいますね……。パフェも美味しそうですが、ケーキも良さそうで」
「う〜ん」と悩むアリーシャに小さく相好を崩すと、「気になるなら、どっちも頼めばいい」と提案する。
「でも、そんなに頼むのも……」
「ケーキは俺が頼もう。コーヒーとセットにすると、得らしいしな」
メニュー表には、単品でケーキを頼むよりも、コーヒーとセットで注文した方がお得と書かれていた。
「好きなケーキを選ぶといい」
「オルキデア様はいいんですか?」
「甘いものはあまり得意じゃなくてな」
アリーシャを安心させるように頷いたのだった。
「じゃあ、これ」
アリーシャが指差したのは、白いレアチーズケーキだった。
「決まりだな」
オルキデアが店員を呼ぶと、レアチーズケーキのコーヒーセットと、ポスターにも載っていたパフェとアリーシャが選んだ季節の紅茶ーーこの時期は、スイートポテトとマロンとカボチャの紅茶らしい。と単品でサンドイッチを頼んだのだった。
飲み物と一緒に先に届いたのは、レアチーズケーキだった。
運んでくれた店員が下がると、自分の前に置かれたケーキをアリーシャに差し出す。
「先に食べていいんですか?」
「先にどころか、全部食べていいぞ。甘い物は苦手なんだ」
「それで気にせず選べって言ったんですね」
コーヒーに口を付けると、程よい苦味と酸味が口の中に広がる。
やはり、上質な豆を使っているようだ。
「でも、全部食べてしまうのも気が引けてしまいます。一口くらい、食べてみませんか?」
「一口でも、君が食べる分が減ってしまうが」
「私は大丈夫です。パフェもありますし」
三角形に切られたケーキの先をフォークで小さく切り分けると、アリーシャは差し出してくる。
「これくらいなら、どうですか?」
「まあ、それくらいなら」
アリーシャが差し出したフォークを受け取ろうとして、ふと思い留まる。
(夫婦らしくか)
こういう時、新婚の夫婦ならどうするだろうと考える。
近くのテーブルを見ると、オルキデアたちと同年代くらいの若いカップルが互いのケーキを交換し合っていた。
(そうか、ああやるのか)
どう交換し合っているのか観察していると、アリーシャが心配そうに声を掛けてくる。
「どうしましたか? やはり、嫌でしたか……?」
「いや、なんでもない」
オルキデアはダークブラウン色の髪が邪魔にならないように耳にかけると、フォークを持つアリーシャの手首を掴んで、自分の顔に近づける。
「あっ……」
小さく声を漏らしたアリーシャの前で、オルキデアは直接フォークに口を付けたのだった。
口の中に広がる程よい濃厚な酸味のチーズと、その下の甘すぎないクッキー生地が非常にマッチしており、甘味が苦手なオルキデアでも美味しく頂けた。
「レアチーズケーキだったか? なかなか、美味いな。これなら俺でも食べられそうだ」
アリーシャの華奢な手首を離しながら、ケーキの感想を話していると、「そうですか……」とアリーシャは小声で返す。
「まさか、オルキデア様が恋人みたいなことをするとは思いませんでした」
「恋人どころか、夫婦だからな。……仮だが」
耳まで真っ赤になりながら、「美味しいです……」と言って、ケーキを食べるアリーシャを微笑ましく眺めていると、ようやくパフェとサンドイッチが届いたのだった。
向かいで、あちこちメニュー表を捲っているアリーシャに声を掛ける。
「迷ってしまいますね……。パフェも美味しそうですが、ケーキも良さそうで」
「う〜ん」と悩むアリーシャに小さく相好を崩すと、「気になるなら、どっちも頼めばいい」と提案する。
「でも、そんなに頼むのも……」
「ケーキは俺が頼もう。コーヒーとセットにすると、得らしいしな」
メニュー表には、単品でケーキを頼むよりも、コーヒーとセットで注文した方がお得と書かれていた。
「好きなケーキを選ぶといい」
「オルキデア様はいいんですか?」
「甘いものはあまり得意じゃなくてな」
アリーシャを安心させるように頷いたのだった。
「じゃあ、これ」
アリーシャが指差したのは、白いレアチーズケーキだった。
「決まりだな」
オルキデアが店員を呼ぶと、レアチーズケーキのコーヒーセットと、ポスターにも載っていたパフェとアリーシャが選んだ季節の紅茶ーーこの時期は、スイートポテトとマロンとカボチャの紅茶らしい。と単品でサンドイッチを頼んだのだった。
飲み物と一緒に先に届いたのは、レアチーズケーキだった。
運んでくれた店員が下がると、自分の前に置かれたケーキをアリーシャに差し出す。
「先に食べていいんですか?」
「先にどころか、全部食べていいぞ。甘い物は苦手なんだ」
「それで気にせず選べって言ったんですね」
コーヒーに口を付けると、程よい苦味と酸味が口の中に広がる。
やはり、上質な豆を使っているようだ。
「でも、全部食べてしまうのも気が引けてしまいます。一口くらい、食べてみませんか?」
「一口でも、君が食べる分が減ってしまうが」
「私は大丈夫です。パフェもありますし」
三角形に切られたケーキの先をフォークで小さく切り分けると、アリーシャは差し出してくる。
「これくらいなら、どうですか?」
「まあ、それくらいなら」
アリーシャが差し出したフォークを受け取ろうとして、ふと思い留まる。
(夫婦らしくか)
こういう時、新婚の夫婦ならどうするだろうと考える。
近くのテーブルを見ると、オルキデアたちと同年代くらいの若いカップルが互いのケーキを交換し合っていた。
(そうか、ああやるのか)
どう交換し合っているのか観察していると、アリーシャが心配そうに声を掛けてくる。
「どうしましたか? やはり、嫌でしたか……?」
「いや、なんでもない」
オルキデアはダークブラウン色の髪が邪魔にならないように耳にかけると、フォークを持つアリーシャの手首を掴んで、自分の顔に近づける。
「あっ……」
小さく声を漏らしたアリーシャの前で、オルキデアは直接フォークに口を付けたのだった。
口の中に広がる程よい濃厚な酸味のチーズと、その下の甘すぎないクッキー生地が非常にマッチしており、甘味が苦手なオルキデアでも美味しく頂けた。
「レアチーズケーキだったか? なかなか、美味いな。これなら俺でも食べられそうだ」
アリーシャの華奢な手首を離しながら、ケーキの感想を話していると、「そうですか……」とアリーシャは小声で返す。
「まさか、オルキデア様が恋人みたいなことをするとは思いませんでした」
「恋人どころか、夫婦だからな。……仮だが」
耳まで真っ赤になりながら、「美味しいです……」と言って、ケーキを食べるアリーシャを微笑ましく眺めていると、ようやくパフェとサンドイッチが届いたのだった。