アリサ・リリーベル・シュタルクヘルトは死んだ(修正中)
それとも、一休みしたいという意味だろうか。
そう考えながら、アリーシャと共に休憩スペースに戻ってくると、噴水前までやって来る。
「大きい噴水ですね……」
「何代か前の国王の即位を記念して、造られたからな」
噴水の中央には、その時の国王を思しき王冠を頭に抱いた人物の彫像があった。
水に濡れて苔むした彫像は、長年の風化によって顔の判別が出来なくなっていた。
噴水周りでは、幼い子供たちが遊び、噴水の縁に座った恋人同士や老夫婦が談笑していたのだった。
「噴水が見たかったのか?」
「それもありますが、それだけじゃないんです」
オルキデアの手を離してやや距離を取ると、アリーシャは何度も息を吸う。
その様子にただならぬ雰囲気を察して、オルキデアも身構えたのだった。
「オルキデア様」
「なんだ?」
「いつもありがとうございます。今もこれからも、ずっとずっと愛しています! これ、受け取って下さい!」
そうして、真っ赤になりながらも、アリーシャは手に持っていた赤いバラの一輪挿しを差し出してきたのだった。
「……これは?」
瞬きを繰り返して、ようやく出てきたのはその一言だけであった。
「バラの一輪挿しです。これもプリザーブドフラワーで出来ていると、セシリアさんが……」
「そうじゃなくて、どうして今なんだ。それに、お前の気持ちはとうに知っているが……」
その言葉に、今度はアリーシャが瞬きを繰り返した。
「あれ? だって、この噴水の前で愛を誓い合って、一輪挿しを受け取ってもらえたら生涯幸せになれるって、セシリアさんが……」
「そうなのか? そんな話、これまで聞いたことがないが……」
そこまで言いかけて、ああ、とオルキデアは思う。
慌てるアリーシャが持つバラの一輪挿し事、彼女の手を包み込む。
「セシリアに一杯食わされたな。大方、花を売る為の作り話か」
「つ、作り話!? 私、騙されたんですか……!?」
真っ赤になって俯くアリーシャの耳元に、顔を近づける。
「だが、嬉しかった。お前の気持ちが聞けて」
そっと囁くと、「恥ずかしいので、これ以上は言わないで下さい!」と小声で返される。
「作り話でも真実にしてしまえばいい。俺たちの手によって」
「えっ?」
アリーシャが顔を上げるのとほぼ同時に、オルキデアは顔を離す。
そうして、包み込んでいたアリーシャの手から手を離すと、バラの一輪挿しを受け取ったのだった。
「俺もお前を愛している。永遠なる愛をここに誓おう」
そうして、アリーシャを腕の中に引き寄せると、すぐに抱きしめ返される。
「これからも、ずっと一緒に居ていいですか?」
「聞くまでもない。ずっと俺の傍に居ろ。俺の目の届くところに……」
爪先立ちになって、肩に顔を寄せてくるアリーシャが愛おしかった。
身体だけではなく、胸の中まで温かくなって、もう離したくなかった。
誰かを愛するとは、こんな気持ちになることなのか。
誰かを愛する喜びを知った今では、先の見えない不安な日々も、何も代わり映えしない日々も、今では輝いて見えていた。
もう、アリーシャなくしては、生きていけそうに無かった。
そう考えながら、アリーシャと共に休憩スペースに戻ってくると、噴水前までやって来る。
「大きい噴水ですね……」
「何代か前の国王の即位を記念して、造られたからな」
噴水の中央には、その時の国王を思しき王冠を頭に抱いた人物の彫像があった。
水に濡れて苔むした彫像は、長年の風化によって顔の判別が出来なくなっていた。
噴水周りでは、幼い子供たちが遊び、噴水の縁に座った恋人同士や老夫婦が談笑していたのだった。
「噴水が見たかったのか?」
「それもありますが、それだけじゃないんです」
オルキデアの手を離してやや距離を取ると、アリーシャは何度も息を吸う。
その様子にただならぬ雰囲気を察して、オルキデアも身構えたのだった。
「オルキデア様」
「なんだ?」
「いつもありがとうございます。今もこれからも、ずっとずっと愛しています! これ、受け取って下さい!」
そうして、真っ赤になりながらも、アリーシャは手に持っていた赤いバラの一輪挿しを差し出してきたのだった。
「……これは?」
瞬きを繰り返して、ようやく出てきたのはその一言だけであった。
「バラの一輪挿しです。これもプリザーブドフラワーで出来ていると、セシリアさんが……」
「そうじゃなくて、どうして今なんだ。それに、お前の気持ちはとうに知っているが……」
その言葉に、今度はアリーシャが瞬きを繰り返した。
「あれ? だって、この噴水の前で愛を誓い合って、一輪挿しを受け取ってもらえたら生涯幸せになれるって、セシリアさんが……」
「そうなのか? そんな話、これまで聞いたことがないが……」
そこまで言いかけて、ああ、とオルキデアは思う。
慌てるアリーシャが持つバラの一輪挿し事、彼女の手を包み込む。
「セシリアに一杯食わされたな。大方、花を売る為の作り話か」
「つ、作り話!? 私、騙されたんですか……!?」
真っ赤になって俯くアリーシャの耳元に、顔を近づける。
「だが、嬉しかった。お前の気持ちが聞けて」
そっと囁くと、「恥ずかしいので、これ以上は言わないで下さい!」と小声で返される。
「作り話でも真実にしてしまえばいい。俺たちの手によって」
「えっ?」
アリーシャが顔を上げるのとほぼ同時に、オルキデアは顔を離す。
そうして、包み込んでいたアリーシャの手から手を離すと、バラの一輪挿しを受け取ったのだった。
「俺もお前を愛している。永遠なる愛をここに誓おう」
そうして、アリーシャを腕の中に引き寄せると、すぐに抱きしめ返される。
「これからも、ずっと一緒に居ていいですか?」
「聞くまでもない。ずっと俺の傍に居ろ。俺の目の届くところに……」
爪先立ちになって、肩に顔を寄せてくるアリーシャが愛おしかった。
身体だけではなく、胸の中まで温かくなって、もう離したくなかった。
誰かを愛するとは、こんな気持ちになることなのか。
誰かを愛する喜びを知った今では、先の見えない不安な日々も、何も代わり映えしない日々も、今では輝いて見えていた。
もう、アリーシャなくしては、生きていけそうに無かった。