泣いてる君に恋した世界で、
全ての力を失った体は柵に身を預ける形となる。これが無かったらそのまま落ちてるだろう。
下を向くと車椅子に乗った俺とほぼ変わらない年齢の男とさっきの幼い声の女の子が抱き合ってた。
なんとも微笑ましい光景だ。
気付けば口角が上がってる自分がいた。
死のうとしてた奴が気楽に笑ってんなよ。最低思考の俺なんか一生笑うな。
そう悪態をやっと考えられる頭でつく。
それでもぼんやりしている頭にぼんやりしている身体の機能から少しずつ情報が入ってくる。
下にいる兄妹の声や鳴り止む間のないサイレン音。通りすがりの子どもの声。途端に聞こえだした豆腐屋の音。
そして、さっきから俺を照らし続けるオレンジ色。
眩しすぎてイライラする。この色はどうも好きになれない。目にも心にも悪い。
マジで、本当に胸糞悪くなるから、俺の前に現れないで欲しいくらいだ。
なんで。
なんで同じように照らすんだよ。励ましのつもりか? 全然効き目ねぇよ。むしろ逆効果なんだよ。
悲しくなるからやめてくれ。
惨めになるからやめてくれ。
苦しくなるからやめてくれ。
死にたくなるからやめてくれ……。
お願いだから……っ。